Last updated:2018/7/4
『まほろばの項』

過去・現在・未来からこぼれ逝く言葉の雫

 16    暗黒の高校時代編5『女性は読んじゃいけない話』
 僕は男尊女卑を訴えるような男では決して無い。むしろ、祖母や母親から与えられた無償の愛情を考えれば、女性を尊敬さえしている・・・。しかし、これ以降のお話は出来れば女性には読んでいただきたくない。なぜか?それは読めばわかるのだが・・・。
 
 男子校と言えば、前述したように男だらけである。一学年350人はいたから全校で1000人を超える男どもがいるわけだ。しかも育ち盛りと言えば聞こえはいいが、生理学的に「新陳代謝の激しい」(要するにくさい)男がワンミリオンもいればおぞましくなってくる。その一人一人が性に目覚め、方向性や嗜好性、強弱の違いはあっても同じような欲望を抱く。柔らかく言えば
『女性を知りたい』
ということだ。
 僕はと言えば、その方面では著しく奥手だったし、エネルギーは毎日の部活動に消費されていたおかげで、性犯罪に走ることなく今ここに至っている。
 
 さて、ここからが本題。(女性の方は読まないほうが良いと思うんですけれど)
 2年生のある日、学級どころか学年全体が大騒ぎになった事がある。ある『写真』が出回っていると言う噂が駆け巡ったのだ。ある写真とは「Hな本の女性自身(無修正)をポラロイドで写し取った写真」であった。それを、ある人物が1枚1000円で、密売していると言うのだ。戦々恐々、大騒ぎである。アダルトなビデオなんて無い時代である。普通の高校生が女性のその部分を拝めるチャンスなんて、まず無い。今にして思えば、どう考えても「悪徳業者」としか思えない、そいつから何人もの友人が当時としては大枚の1000円を払って、その写真を手に入れたのだ。これはもう男の性(さが)と言う他無い。決して女性にはわかるまい。僕自身も小遣いが充分にあったならば、否応無く買っていただろうから。そう、幸か不幸か僕は貧しいがゆえに、それを買うというみっともない行為をとらなくて済んだのだ。
その写真を手に入れた友人から、その晩、電話があった。
「・・・写真、どうだった?」おそるおそる期待を込めて問う僕になんと友人は、予想もしなかった言葉を告げた。
「想像していたものと、全然違った。俺、気持ち悪くなっちゃたよ・・・。」
「・・・・・」
「俺、今晩メシ食えそうにないよ。」
僕は時計を見た。部活でしごかれて帰った後だったので、夜の7時を過ぎていた。
「あのさ、これからその写真、身に行っていいか?」
「なんだよ。お前、学校ではそんなもの買うなんて、情けない・・・なんて俺をバカにしたろうが!」
「・・・記憶にございません(当時流行っていた言葉)。」
「・・・はっははは、かなわねぇな。こいよ。今の俺の気持ちを分かち合おう。」
「よし!」
つかれきっていたはずの身体に力がみなぎった。普通自転車で10分はかかるその友人の家までの道を、僕は5分で走りきった。
 そうして僕が見た写真・・・。もう、なにも言いますまい。ただ、僕が恋したあの子やあの子も・・・こんなのかなぁと、帰りは1時間かけて帰った僕であった・・・。
 
※女性は美しい。そのからだの隅々において・・・。男性にとってこの世の最上の美は、間違いなく女性である。それは間違い無いですよ。うん。
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